屈折異常 中等度以上の遠視や強度の近視・乱視があると、物がはっきり見えないので、網膜から脳へ情報を伝える経路が育ちにくく、弱視になります。メガネなどによる矯正が大切です。 不同視 メガネの度(屈折)が左右で極端に異なることを不同視〈ふどうし〉といい、度の強いほうの眼は使われず、弱視になります。しっかり矯正して、両眼を使うようにします。
形態覚の遮断 なにかしらの理由で、網膜の前に邪魔な物があって、網膜に映像が写らないことを“形態覚〈けいたいかく〉の遮断”といい、やはり弱視の原因となります。角膜の濁りや白内障、眼瞼下垂〈がんけんかすい〉(まぶたがきちんと開かない)などのほか、眼帯の使用もこれに該当します。
次のようなことは、眼がよく見えていないことを表す、子どものサインかもしれません。気づいたら早めに眼科医にみてもらってください。 ◆しぐさ…物を見るとき、片方または両方の目を細める、首を傾ける、顔を近づける。片方の眼を隠すと途端に嫌がる(よく見えるほうの眼が隠された場合の嫌悪反射〈けんおはんしゃ〉)。 ◆目の外観からわかる異常…両眼が寄っているか、別の方向を向いている。眼球が震えている。眼の大きさが左右で異なる。眼の表面や中が濁っているように見える。 ◆動作など…反応が鈍い。疲れやすそう、あきっぽい。
―子どもに多い目の病気―
はやり目・プール熱 ウイルス感染などで結膜(いわゆる白目の部分)が充血し、目やにがたくさん出る病気です。子どもの目にはよく起こります。かぜに似た症状が現れることもあります。 結膜炎のなかには、目をこすった手や物を介してほかの人に感染するものもあるので、治るまで幼稚園や学校は休ませます。また、こまめに手を洗ったり、タオルは別のものを使用したり、入浴後はお湯をかえるようにしましょう。 目薬の点眼などで1〜2週間程度で治りますが、まれには別の細菌に感染したりして、視力に影響が残ることもあります。 ものもらい 汗を分泌している汗腺〈かんせん〉に細菌が入ったり、脂の出るマイボーム腺の出口が詰まり脂が溜まって、炎症を起こしたり化膿〈かのう〉した状態がものもらいです。まぶたが赤く腫れて痛みます。ほとんどは抗生物質の点眼薬・軟膏〈なんこう〉などで治ります。長引くときは、切開して膿〈うみ〉を出してあげることもあります。子どもは全身麻酔が必要なので、できるだけ薬で治します。 逆さまつげ 子どもはまぶたが厚いために、まつげが内側を向いてしまい、眼球の表面に触れることがあります。ただ、眼にまつげが当たっても、子どものまつげは毛質が柔らかいため、本人はあまり気にしません。涙の量が多かったり、まぶしがったりすることで気づきます。 成長とともにまぶたが薄くなることに伴い、まつげも自然に外側を向くようになるので、しばらく経過をみるのがふつうです。3歳ぐらいになっても治らなければ、毛質が硬くなってきて眼球表面を傷つけたりすることもあります。その場合は、まつげを外側に向ける手術で治します。 鼻涙管閉塞 涙が涙点〈るいてん〉(目頭にある涙の排出口)から鼻の奥へ流れていく通り道のことを鼻涙管〈びるいかん〉といいます。生まれたばかりの赤ちゃんでは、この管が詰まっているために涙がこぼれやすいことがよくあります。 鼻のつけね部分をマッサージしてあげ、涙を流れやすくしたりするうちに、生後数カ月たつと管が開通することもありますが、開通しない場合は細い金属の棒を通して拡張します。 けが 目に異物が入ったときは、まず水道の蛇口の水で洗い流し、すぐに眼科を受診してください。目をこすってはいけません。こすると眼に傷をつけてしまいます。また、生石灰やセメントなどのアルカリ性の物は、要注意です。十分洗わないと、どんどん眼の中に侵入して、状態をよりひどくしてしまいます。 受診の際には、目に入った物が何だったのかが正確にわかるように、薬品類であればその入れ物(ビン・箱)や説明書を持参してください。ガラスや鉛筆、箸などの器物の場合は、壊れた破片を集めてきてください。破片が足りなければ、眼の奥に入ったままになっていることも考えられるからです。 なお、目や目の周辺にボールなどが当たった場合は、そのときはなんともなくてもあとから異常が起きることがあるので、必ず眼科で検査をしてもらいましょう。子どもは、けがをした直後は痛がりますが、痛みがなくなればケロッとしていることが多いものです。 保護者の方が見ていないときに事故が起こることも多いので、状況がわかりにくいこともしばしばです。十分気をつけてあげてください。 ストレスの影響 心にストレスが加わったとき、それが身体症状となって現れることがあります(心身症)。例えば、クラス替えや引っ越しで友達が変わった、担任の先生が交替した、飼っている動物が死んでしまった、といったことが、よく原因となります。検査をすると、視力低下や視野が狭くなっているのが見つかります。ただし目の症状に限って言えば、ストレスの原因が解決されれば元に戻るので、それほど心配いりません。 そのほかには 白内障や緑内障も、成人の場合と異なる原因で子どもに起きる場合があります。いずれも手術治療を行いますが、いつどのように手術するかは、病気の程度などによって判断されます。このほか、屈折異常や網膜色素変性症、色覚の異常などについては、このシリーズの当該の号をご覧ください。
はっきり物が見えていれば成長の過程でごく自然に身につけていくことも、目がよく見えないと、誰かに教えてもらわない限りわからないことがあります。ですから、両眼ともに視力が悪く、治療できない場合には、子どもが見ようとするのを保護者が積極的に促すことが、子どもの成長に大きな影響を与えます。 ルーペや単眼鏡、拡大読書鏡などを利用し、物を見る機会、文字を読む機会をたくさん与えてください。使用目的ごとにさまざまな補装具があります。眼科医に相談し、適切なものを選んで使ってください。 なお、片方の眼の視力が悪くても、もう片方の視力・視野が大丈夫なら、日常生活はそれほど不自由なく送れます。